2008年7月27日、東京都・日本橋で、「低炭素社会に向けた社会的実験」と題されたセミナーが開催され、自然エネルギーでの電力自給率100%を誇るデンマーク・サムソ島や、政府から「環境モデル都市」に選ばれた長野県飯田市、神奈川県横浜市からのゲストが、それぞれの取り組みについて語りました。主催は環境エネルギー政策研究所、おひさまエネルギーファンド株式会社。会場には約100人の参加者が集まり、ゲスト達の報告を熱心に聞き入っていました。
■たった10年でCO2排出量140%削減を実現した島

人口約540万人、面積は九州ほどとデンマークは小さな国ですが、風力発電用のタービンの生産は世界トップで、市場の約6割を占めています。同国中東部の沖にある人口4500人ほどの島・サムソ島の低炭素社会つくりを進めてきた、ゾーレン・ヘアマンセン氏(サムソ・エネルギーアカデミー)は「1998年に取り組みが始まって以来、たった10年で、島内の風力発電により100%自給されるようになり、島内の運輸もこれによってまかなわれている。暖房もその75%が麦わら等のバイオマス」と劇的な変化を報告。「これらの取り組みにより、CO2排出量の140%削減が実現しました」と成果の大きさを示しました。
なぜ、短期間にこれだけの変革が可能だったのでしょうか。ヘアマンセン氏は「島内の個人や企業、共同組合からの多額投資」がその理由だと言います。「10年間で行われた投資は5500万ユーロ(約93億5000万円)。その内デンマーク政府やEUからの投資は800万ユーロで、残りの4700万ユーロは島内からの投資です」。ヘアマンセン氏は「島内からの投資が多かったことで、お金が外に流出しなくなり、新たな職場も増えた」など、温暖化対策がサムソ島の経済の好転につながったことも強調しました。
■飯田市、横浜市の低炭素社会への取り組み
日本からは、2008年7月に「環境モデル都市」に選ばれた長野県飯田市の牧野光朗市長と、神奈川県横浜市の阿部守一副市長が発言。牧野飯田市長は全国でもトップクラスの日照時間を誇り、森林資源も豊かという飯田市の特性を活かした「『おひさま』と『もり』のエネルギーが育む低炭素な環境文化都市」というビジョンを紹介。「(太陽光発電や木質バイオマスなどの事業を進める)『おひさま進歩エネルギー株式会社』と協力、関連した様々なプロジェクトを進行させており、市民から出資を集めている他、国内CO2市場からも資金を調達する計画だ」と民間企業や市民の活動を軸にしたと取り組みを報告しました。

阿部横浜副市長は、「細かく分別することで、焼えるゴミを4割減少させ、焼却処理から排出されるCO2を 47%削減した」「市民や企業からの出資で大型風力発電所を建設・運営したり、下水汚泥から発生するガスで発電したりしている」と実績をアピール。さらに、「飯田市など、他の自治体とも共同して、自然エネルギーの普及を図りたい」と、グリーン電力の購入などの農山村との連携も視野に入れていることを明らかにしました。
■国内76の自治体が自然エネルギー自給率100%越え!!

このセミナーでは、国内の自治体での自然エネルギーの普及について研究する倉坂秀史千葉大学教授も講演し、実は国内でも「76の自治体が自然エネルギーのみで民生用電力需要を満たしている」という調査結果を報告。これらの「エネルギー永続地帯」が存在することを明らかにし、これを拡大していく政策をとることによって、「脱・化石燃料時代への道筋を明らかにできる」と提言しました。
(志葉玲)















