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COP9からCOP10へ(第1回) ― COP9で前進したこと、COP10に向けての課題:僕のみたボンでの交渉
(2008年6月19日 09:00)

ドイツ、ボン市において、2008年5月19日(月)~30日(金)の日程で開催された生物多様性条約第9回締約国会議(COP9)が無事に閉幕した。「包括的」であることを特色とする条約に対し、敢えて焦点と項目を絞って、私見として2010年への課題をまとめていく。(注)

 
■COP10への焦点

かなり乱暴な議論であることを承知でまとめると、COP9での議論からCOP10に向けての論点や課題は以下の4つに集約できよう。

  • COP/MOP4(第4回バイオセイフティに関するカタルヘナ議定書締約国会合)からCOP/MOP5では、「責任と救済」に関する国際的な議定書や枠組に合意できるかどうか、議定書の実効力を図るうえで重要となる。
  • 遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)の国際制度への合意ができるかどうかに注目が集まる。
  • 2010年目標の達成が危ぶまれるなかで、2020年や2050年に向けて数値目標に合意できるのか。数値目標には、モニタリングやアセスメントなど科学的な土台となる議論が欠かせないが、どの程度科学者が建設的な提言をできるのかどうかが焦点となろう。
  • 国際生物多様性の年に当る2010年に、どれだけ当事者として参加意識のあるアクターが増えるかに注目が集まる。民間セクター、特に調達の際に生物多様性に影響力の大きいセクターで、生産セクターと呼ばれる、農業、林業、(一部鉱業)などの参画の進捗が重要となる。また地方自治体に関するイニシアティブが発足したが、今後の動向に注目が集まる。

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 広報・教育・普及啓発(CEPA)の非公式会合の様子:
 
2010年に向けてさまざまなアイディアが議論されている

■開催地である日本の課題

繰り返し指摘されていることであるが、省庁横断的、あるいは各自治体の連携が不可欠となる。非政府組織は、代替案となりうる提言が行なえるかどうかが鍵となり、またある程度の規模で訴えていかないと、190以上の国々が参加し、さまざまな非政府組織が参加する会合では、なかなか主張を聞いてもらうことも難しい。特に、生物多様性条約では、いわゆる8条に象徴されるように、先住民族の団体が積極的に参加していることが環境条約のなかでも特色となっており、環境保全のためだけの団体が集まるわけではない。さまざまな立場や利害を調整できる、懐の深い調整能力が求められることになる。

民間セクターでは、里山や伝統的な技能など、技術や知識の蓄積を世界にアピールすると同時に、日本という特有の場で威力を発揮した技術や知識が、そもそも発展途上国で本当に通用するのか、役立てていくためにはどのような能力開発や土壌が必要となってくるのかについても議論をすることが重要となろう。

2008年のCOP9は、どちらかというと、森林や農業など陸(オカ)のものが主要な論点であったが、2010年は、沿岸・海洋域、内陸水など水(ミズ)のものと、持続可能な利用が焦点となりそうである。生態学の分野でも、陸と海の科学者の交流は少ないことが指摘されることがあるが、COP10では分野を超え、エコシステムアプローチが目指す、学際的なアプローチが可能であるかどうかが焦点となる。

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 サイドイベントで頒布された海洋・沿岸生態系保全の資料

■開催地:焦点は早くもCOP11へ

まず、日本人にとって最大の関心事であった開催地の誘致は、大きな波乱や反対もなく決定された。誘致は、2007年の1月に閣議決定(当時の安倍内閣)されており、前倒しで開催地への名乗りをあげた前例を作った(COP8のブラジルは、省庁関係者にもCOP7の交渉中に自国で開催を知らされた人がいた模様だし、ドイツは直前までCOP9をホストすることを伏せていた)。日本がかなり早い時期からCOP10誘致に名乗り出たことが、COP9での交渉に影響が無かったかと言えば、あったというのが実情であろう。本質的には、開催地の如何に関わらず、各国が国益、国内・国際情勢を踏まえて交渉をおこなっていくのであるが、実際にはホストすることに対する圧力、リーダーシップへの期待は高まる。

COP10開催で盛り上がる日本であるが、国際社会の関心の一部は早くもCOP11の開催地に移っている。南米のエクアドルが閉幕式でCOP11への意欲を示し、アジアの新興国といわれる地域もCOP開催への関心を示した。アフリカ勢も小国を含めて意欲を示しているが、本命とされた南アフリカが暴動や政権の不安定さから、立候補には厳しい情勢が続いている。ドイツと日本ときたので、次回は発展途上国というのが現在のコンセンサスであろうが、まだ開催されていない大陸(北米)もあり、その場合は、先進国という選択肢がありえるかが焦点となる。2010年の10月は、COP10開催の時期であると同時に、COP11が正式に決定する時期でもあり、2010年から2012年までが議長国期間となる日本としても、COP11の開催地は気がかりなところである。

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 COP9の閉会式で発言する政府代表団

(注)よって著者が所属する団体や組織の見解を反映するものではないことを付記しておく。

(香坂玲)

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