環境と開発 ── 持続可能な開発に向けて
移動手段・インフラは発展途上国と先進国で大きく異なる
気候変動枠組条約、生物多様性条約など、世界には150以上の多国間環境条約(MEA)が存在しています。その成立過程では交渉のために、膨大な時間、労力、費用がかかっています。多くのMEAの交渉の過程で焦点となってきたのは、今の世代と次の世代以降の利益を、どのように両立させるのかという問いです。
愛・地球博では、未来からの子供の使者がメッセージを運んできましたが、実際の国際交渉の場ではなかなかそうもいきません。現在の世代が、次の世代に思いを巡らせて条約をつくり、次の世代に少しでも良い状態で地球を引き渡していけるように努力をつづけていくしかありません。このように、今の世代だけで終わるのではなく、次の世代、その次の世代へと環境を持続的に利用しながら発展していくことを「持続可能な発展」と呼び、その重要性が認識されるようになりました。
前回のコラムでお話したアポロ17号のブルーマーブルとちょうど同じ時期に、ストックホルムで、その後の歴史に大きな影響を与えた「国連人間環境会議」が開催されました。まさに「かけがえのない地球」というテーマで、宣言(人間環境宣言)や計画(環境国際行動計画)の採択のほかに、環境問題を専門に扱う機関、国際連合環境計画(UNEP)を国連の枠組みのなかで設立しました。こうした一連の動きが、環境問題が地球規模のものとなった危機感を共有するのに決定的な役割を果たしました。
さらに実際の交渉の場では、この「今の世代と次の世代」の対立だけではなく、今の世界のなかでも、経済、厚生、社会的制度で圧倒的な差がある、いわゆる先進国と呼ばれる国々と、未だに多くの人々が貧しい生活を強いられている発展途上国と呼ばれる国々が対立をする場面が多くあります。これは、先進国が北半球に、貧しい国々が南半球に多いことから(豪州などは例外)、南北対立と呼ばれることが多いものです。
過去のMEAは、時には激しい対立を繰り返しました。熱帯雨林、サンゴ礁、危機に瀕した希少な生物種などの多くが、これから経済発展を希求する南の国々に集中しているだけに、問題は一筋縄ではいきません。主に先進国が主張する環境の保全を単独で取り上げるのではなく、現在は貧しい生活を強いられている国や人々が自然資源を持続可能な形で利用し、発展していくことも議論する必要性が認識されました。つまり、地球規模の環境問題を議論する際には、保全と開発がワンセットで話し合われることの重要性が認識される過程でもありました。それは、ストックホルムの国連人間環境会議から20年を経て、1992年のブラジル リオ・デ・ジャネイロで開かれた、いわゆる「地球サミット」の正式名称「環境と開発のための国連会議」が端的に示しています。

発展途上国の豊かになりたいという希望:保全と開発がワンセットで話し合われることが重要

教育は発展途上国の環境保全と社会開発の重要な要素
南北の格差は、経済の側面だけではなく、人々の教育、雇用、移動などの可能性の格差でもあります。発展途上の国々が先進国と同様に豊かさを追求する可能性を開きつつも、公害や資源管理での同じ失敗を繰り返さないよう、技術移転や人の育成を協力して行なっていくことが重要であると国際社会では認識されています。
(香坂玲)
















