かけがえのない地球 ── ブルーマーブルが教えてくれたこと
©NASA 1972年12月7日撮影/URL
2008年は原油価格が100ドルを越える高騰で、波乱のスタートとなりました。穀物価格も上昇しており、これが投機なのか、需要によるものかは歴史が判断することなのでしょうが、私には「未来からの警告」の一つであり、新しい生活スタイルと再生可能なエネルギーの話を催促しているようにもみえます。
さて、「自然の叡智」をテーマとした2005年の愛・地球博から3年が経とうとしています。お祭りムードが去った今、地球博でのさまざまなメッセージに、再 び冷静に耳を傾けてみましょう。紫外線が強くなってしまった地球で暮らす未来の子供たちからの訴えを忘れていませんか。
オオタカの巣をめぐる論争は、繊細なバランスのうえにある生態系の存在をハイライトしました。複雑で時間と伴に変化していく自然が相手では、科学技術などの人知には限りがあることを示し、まさに「自然の叡智」を思い知らされた出来事でもありました。
地球博は、地球、自然という言葉が踊ったイベントでもありました。先ほど「自然を相手にする」などと申し上げましたが、自然や地球を、一つの生態系のまとま りとして捉えるようになったのは、つい最近のことです。宇宙から地球を撮影した、ブルーマーブルというあだ名の一枚の写真がきっかけです。
アポロ計画で1968年末にアポロ8号などの宇宙飛行は行なわれてきたのですが、地球写真として非常に有名となったブルーマーブルの写真は、アポロ計画も終 盤の1972年12月のアポロ17号の撮影です。ガリレオ、デカルト以来、地球が丸く、一つであることを知識としては当時の人々も知っていたのですが、多 くの人が実感として強烈な印象を受けたのはブルーマーブルの写真などを通じてだったのでしょう。黒い宇宙にポツンと浮かぶ地球のかけがえのなさ、まるで一 つの細胞であるかのような感触、そして人類が地球を共有しているというさまざまな思いを喚起したことでしょう。
政治的には、東西陣営の対 立が続く冷戦構造で、地球は全人類が共有しているものではなく、まさに分断されている時代であったことを考えると、たかが1枚の写真と侮ることはできませ ん。そして、ブルーマーブルと前後するかのように、1973年12月以降、世界はオイルショックによって資源の有限性、自然に依存して経済や社会が成り立っていることを思い知らされるのです。ブルーマーブルのかけがえのない地球という「福音」と、石油や物価を通じた暴力的ともいえる限りある資源という 「警告」が織り交ざっていた時代であったといえそうです。
2008年も、まさに資源に関する警告でスタートしています。さらに、地球温暖 化、生物多様性の損失など1970年代よりも問題は、政治的にも科学現象としても、大規模で複雑化しています。その過程は、科学や技術の進歩以上かもしれ ません。地球博での自然の叡智というテーマに謙虚に思いを巡らせ、さまざまな地球からの警告に耳を傾ける時期に差し掛かっているのです。
(香坂玲)
















