2010年2月13日(土)より、名古屋市中区の伏見ミリオン座で実写映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」が公開される。

(C)2010花沢健吾/「ボーイズ・オン・ザ・ラン」制作委員会
この映画は、ビッグコミックスピリッツで連載された、花沢健吾原作人気漫画の映画版である。※コミックス全10巻は、累計60万部を突破。泥臭い青春を描いた名作。30代以上の男性にとっては、共感できる内容の映画なので、是非機会あれば、劇場に足を運んで欲しい。
正直、この映画を観るのはつらかった。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」というタイトルはカッコ良いのだが、主人公、田西のキャラ設定は、29歳。素人童貞。”面白くない”ダメサラリーマン...。
映画資料には、「醜悪エンターテイメント!」と書かれてある。あらすじ見ても、「何か、どっしようもない...」青年の物語にしか見えない。ちなみに原作は読んでいない。※映画のあらすじとかを知りたい人は、公式サイトへどーぞ。
それでも観て見ようと思ったのは、主人公を演じる、銀杏BOYZのボーカル、峯田和伸が、僕の友人に酷似していたから、に過ぎない。それと、黒川芽以という女優を、カワイイな、と思ったことも少々。
まぁ自分がこの映画を観るに至った経緯はどうでも良い。で、観た結果だが、これが結構面白かった。筆者のように過去20代というものを経験した世代には、何とはなしに
共感できる内容なのだ、これが。
映画は、全編、田西の無様な”青春”が描かれる。田西は、カプセルトイ(ガチャガチャとかガチャポンとも言われているやつね)製造メーカーの営業マン。大体営業マンの話しと言うと、エリートとダメ社員のどちらかが登場するが、田西はもちろん、ダメの方。当然、うだつもあがらない。やっと出来た恋人らしき女性、ちはるとの関係を縮められないまま、ライバルに寝取られ、さらには妊娠までされてしまう。一体、どこが「ボーイズ・オン・ザ・ラン」なのだろうか...。
この物語は、恐ろしいくらいリアルだ。しかしその反面、どこか虚構の中にいるような気もする。絵に描いたような悪党、青山の存在と行動。どこにでもあるようで、ないような、田西とちはるとのすれ違い。僕とは境遇的にまるで違うのだが、それでも、どこかで共通する部分があるような気がして、ムズムズする感じがある。田西という存在が、徹底的に共感を持たれないように描かれているのも興味深い。なぜなんだろうと思っていたが、途中、モヒカン姿になるのを観て、なるほど、と思った。
監督は策士である。常套手段とは言いつつも、この効果は大きい。田西がモヒカン姿になってからは、題名の通り「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の物語が始まる。つまり、それまでは序章だった訳だ。少々長かったけれども。
田西が走り始めることをこそ、この映画で描きたかったのであって、それにいたる経緯は、単なる説明、に過ぎなかった。
この映画で主張しているのは、漫画によくある、主人公の成長物語ではない。”醜悪エンターテイメント”である。走り始めて、何かを達成する、のではないのだ。
”言いたくて、言えなかったこと””躊躇して出来なかったこと”
そんな思いは、おそらく誰にでもあるのではないか。その結果として生じた事象に対して、後から後悔しても遅い。努力しても取り返すことはできない。
この映画のラスト、駅のプラットフォームで、傷だらけの主人公に対して、ちはるが放つ言葉。この空虚さ、むなしさ。この瞬間、田西の中で1つの青春が終る。
(この部分は、本当に共感できた。誰にもこの瞬間があるのではないか)
過去は取り戻せない。悔いてもどうにもならない。だから、前に向かって走り続けるしかない。
走った先に、きっと何か、昨日までと違う何か、がある。それを信じて。
僕と同じだ。そう、思った。
(高須健一)
ボーイズ・オン・ザ・ラン:http://www.botr.jp/




















