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《クリチバの奇跡に学ぶ》繁華街を線状に伸ばし、バスを主役に - 地下鉄をヒントに大量輸送を実現
(2009年8月8日 05:58)

これまで3回に渡って、クリチバ市の、人を大切にするまちづくりを、花通りや公園緑地を通して説明しました。また、どのようにして南米の貧しい一地方都市が人口一人当たりの緑地面積を55平方メートルにまで増加させ、より質の高い都市生活を可能にしたかを説明しました。即ち、大変な資金をかけてすばらしい施設を持つ公園をつくるのではなく、その都市に合った、そしてシンプルな、そこにあるもの(特に自然)をうまく取り入れ、経済的に利用価値のないところをも、短所を長所にして公園化していきました。それは日本が独特に持つ、調和の手法です。(最近日本は、このことが大事にされず、西洋的、アメリカ的な考えが重んじられているようですが)

 今回は、この「その都市、地方に、技術的にも経済的にも適した解決方法」をクリチバ市の都市交通計画、特に公共交通政策にあてはめて紹介します。特に、100万を越す人口を持つ都市には地下鉄が必要である、という世界の常識に反して、クリチバ市は、経済的、技術的に適した解決方法として、バスを公共交通として活用していきました。

 それを、

1、用途地区計画と交通計画の統合

2、利用者を大切にする公共(バス)交通政策

3、自転車道路の普及

の3回に分けて説明しましょう。今回は、用途地区計画と交通計画の統合です。

 一般的に世界の都市は中心地区が団子状に拡大していき、その中心に向かって全ての人々の動き、交通が集中するので、パンク状態に陥り、コントロールを失い、無秩序な開発が郊外に拡大し、即ち爆発する都市と言われることになります。クリチバ市は同じ不都合を繰り返さないよう、都心、繁華街を線状に伸ばし、都市の発展方向を線状に東西南北に誘導する政策を取りました。しかも、用途地区計画と主要幹線道路計画とを統合的に計画し、さらに人口密度の高い線状中心地区に、公共交通(バス)を優先交通として通し、バス交通の利点を多くし、自家用車よりもバスという認識を植えつけていきました。

その計画の要点を、写真と共に説明していきましょう。

1クリチバ市の地図

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5本の赤線が軸状幹線です。この軸線(3本の平行な道路からなる)に沿って中心街が線状に誘導されます。また用途地区としては、この幹線に沿ってだけ高層建築が許可され、ビル街も線状に延びています。この中央の軸線にバス専用レーンがあり、人口密度の集中した軸線上に公共交通としてバスが優先的に走行します。この計画が始まった時は、クリチバ市は、すでに人口60万人の都市でした。

2.バス専用レーンと中央軸線

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バス専用レーンで、ピーク時30秒毎に3台連結のバス(270人乗り)がプラットホーム(チューブ型バスストップ)に入ります。現在では、1日のバス乗車数は、200万を越しています。このように、金がないので世界の近代都市のように地下鉄を導入できず、バスで解決を試みたのがクリチバ的方法です。即ち、バスを、速くて、時間が正確で、快適な地下鉄のように扱ったのです。バスは、地上の風景、季節の花木を楽しめますし、きつい階段も必要ではありません。

3.都心の線状的発展

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ビル街が線状に延び、他の地区には高層建築が許可されず、用途地区としては住宅地区となります。中心街が線状なので、住民の動きも、中央一点に集中するのではなく、かなり幅広くなります。

4.チューブステーションと3連結バス

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実は、このチューブステーションのヒントは、日本で地下鉄に乗った際にもらいました。バスでの乗り降りの無駄な時間を、地下鉄のように短くすればいいと気づいたのです。2~3分かかるバスの乗降時間を10秒に短縮すると、次のバスがすぐに入れます。それによって、時間当たりの輸送能力が大幅に増加するのです。

バスの床の高さと、チューブステーションの床の高さを同じにすることによって、短時間にスムーズに乗り降りが出来ます。また、路上にプラットホームをつくることで、乗車賃はプラットホームに入るときに支払うので、バスに乗るときに払う時間が必要でなくなりました。

5.軸線

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中央の道路がバス専用レーンのある中央道路で、それに平行した両側の道路がフリーウエイ的な優先道路で、この3本にはさまれた地区にだけ高層建築が許可され、その地上階は、全て商業施設となっています。

(元クリチバ市環境局長の中村矗=ひとし)

※この記事は、中日環境netにも掲載されています。

コメント

  • qoo - 2010年03月18日 17:49
    はじめまして。 脱クルマ社会について興味がある者です。 クリチバは公共交通優先社会を実現している数少ない成功例です。 そこで、クリチバ市は車に依存しない都市として、自動車保有台数が少ないと考えておりました。 ところが、調べてみると、サンパウロやリオ、ブラジリアといった都市に比べて保有率が高い結果が出ました。 クリチバは実は車が多い都市なのですか? とても意外な結果だったので、事情をご存知でしたら教えていただけませんか?
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