栄養たっぷりでご飯にもあうことから人気のチリメンジャコ。愛知県では例年より1ヵ月遅い5月末頃からシラス漁がスタートしました。いまだ漁模様は良くないものの、県内の各産地では加工場が稼動し、シラス加工品の生産が始まっています。愛知県碧南市にある大浜漁港は、周囲の埋め立てが進み、工場や倉庫が立ち並ぶなかで、いまも多くの漁船が操業する県内有数の漁業地区です。
2009年6月19日(金)の昼過ぎ、漁港内にある碧南魚市場に向かうと、シラスの水揚げを待つ仲買人や市場関係者らで活気にあふれていました。午後1時頃、漁に出ていた漁船が続々と帰港。接岸した漁船の船倉からは、シラスのいっぱい詰まったカゴが漁師の手で次々とベルトコンベアに乗せられ、魚市場へ。荷捌き場に運びこまれたカゴは、すばやくパレットに積み上げられていき、フォークリフトで入札する場へと並べられていきます。入札に参加する仲買人は、真剣な表情でシラスを手にとってサイズや色などを吟味。「はいやるぞー!」とのかけ声が響くと、入札が始まります。
シラスはカタクチイワシやマイワシなどイワシ類の稚仔魚で、春から秋にかけて、おもに伊勢湾や渥美半島の外海で漁獲されます。2007年の愛知県の生産量は6962トンで、静岡、兵庫県に次ぐ全国第3位。県内では大浜のほか、南知多町篠島、豊浜、師崎、田原市赤羽根などでも水揚げされています。同魚市場によると、この日の水揚げは332カゴ(1カゴ約20キロ)でカタクチイワシが中心。主な漁場は渥美半島沖の外海です。漁期当初からの水揚げ量は、例年に比べてかなり少なく、今後の漁模様の回復が期待されています。
鮮度落ちが早いため、水揚げからは時間との勝負。落札されたシラスは、仲買人によってすぐに地元の加工場へと運ばれていきます。大浜では現在、7軒のシラス加工場が稼動しています。加工品にはさまざまな種類がありますが、釜揚げしたものを乾燥させずにそのまま商品化にしたのが釜揚げシラス。さらに乾燥の度合いによって、シラス干し、チリメンジャコと呼び方が分かれます。これら全ての加工品を総称して、チリメンとも言うそうです。
チリメンについて、「一般的には大きくて白いものが好まれます」と話すのは、碧南水産物加工業協同組合代表理事であり、カネク水産を経営する角谷榮治さん(63歳)。先代が創業した水産加工会社を受け継ぎ、40年以上にわたって大浜でシラスの加工品をつくり続けています。
この日の入札で手に入れたシラスは、すぐに加工場へと運んで釜揚げ。自動乾燥機を通した後は、天日に干して仕上げます。この日の天日干しは約15分。干す時間は長年の経験からくる勘が頼りで、その日の天候や湿度、風の強さによって変わるそうです。この天日干しが商品の品質を大きく左右します。加工されたシラスは「上干しちりめん」「しらす干し」の商品名で、地元の量販店などで販売されています。
自動乾燥機がありながらも、最後は天日に干して仕上げるのが同社のこだわり。「いくら乾燥機を使っても天日には勝てない。色、つや、味が違うんです。太陽の恵みを使わせてもらっています」。天日に干されるシラスを前にして語った角谷さんの言葉がとても印象的でした。
(水産ライター 新美貴資)




















