ドイツのボンでCOP9(生物多様性条約第9回締約国会議)が2008年5月19日~30日に開催されます。5月30日には、2年後の2010年に愛知・なごやがCOP10の開催地に正式決定する見通しです。そこで、知事とともに視察に向かわれる愛知県顧問の林清比古さんに、出発前にお話をうかがいました。
―COP9の開催地、ドイツのボンへ行かれるとお聞きしましたが、どんなことをアピールされる予定ですか?
大きく分けて、3つの点をアピールしてきたいと思っています。
1つめは、県民総参加で盛り上げた愛知万博(2005年)の成果・理念を継承し、COP10につなげていきたいということ。地元の熱意も伝えたい。
2つめは、この地域には今まで国際機関の大きな会議を開催した経験がないので、インフラ面での整備や人的資源の点でも十分国際機関の正式な会議を開催できる力量があることを訴えたい。
3つめは、COP10を一過性のイベントとしてだけではなく、これを契機に「生物多様性の主流化」、つまり、各国政府、地方自治体、企業、NPOなどの行いの中に生物多様性を織り込んでいくことです。「生物多様性」を、県行政の一つの軸にしていきたいと思っています。
―具体的にはどのようなことですか?
今年度中に「あいち自然環境保全戦略(仮称)」を策定し、中長期的に政策を充実していきたい。その大枠の内容としては、生物多様性の保全を基本理念とした生態系ネットワークの形成、外来種などのかく乱要素の規制、土地所有者とNPOが共同で里山等を保全する仕組みづくりなどを考えています。
また、医薬品や食糧など多くの分野で企業活動と生物多様性との関係が非常に深いので、企業連携も進めていきたいと考えています。
―誘致委員会事務局の方が、今年3月にまとめられたCOP10誘致構想をカナダのモントリオールにある生物多様性条約事務局にPRに行かれたそうですね?
誘致構想を説明した際に、条約事務局のジョグラフ事務局長から、「COP10の2年半も前に誘致構想を作成したのはCOP史上初めて。また、開催地の地元が自主的に取り組む『ローカルアクションプラン』を作成し、生物多様性問題に取り組んで行く姿勢も特筆すべき」と高い評価をいただきました。
―昨年まで県の環境部長をされていましたが、COP10を契機に、生物多様性を県全体の政策に盛り込むビジョンづくりに関わられたのですか?
愛知県では、愛知万博から5年後の2010年を新たなマイルストーンとして位置付け、「愛知国際芸術祭」をはじめ、いくつかの国際会議や新政策などを2010年に織り込んでいます。
COP10の誘致・開催を契機に、生物多様性の理念を行政としてどう受け止めるかということで、エコシステムアプローチの考え方を基本にした「あいち自然環境保全戦略(仮称)」のビジョンを打ち出しました。以前に「自動車環境戦略」や「水循環再生基本構想」、「あいち地球温暖化戦略」、「ゼロ・エミッション・コミュニティ構想」と、県の環境行政として矢継ぎ早に推進計画を作ってきましたが、最後の課題が「自然」なんです。自然保護行政も、従来の開発規制だけでなく、理念的な目標を掲げて総合的に進めていくときがきたのだと思います。
―海上の森や藤前干潟を守ったという実績が世界から大きく評価され、COP10の開催地に内定したと言われています。しかし、一方で、六条潟の埋め立てや設楽ダムの建設、トヨタ自動車のテストコース計画などの開発もあります。こうした問題についてはいかがお考えですか?
保全と開発の在り方を探りながら進めていくことが重要だと思っています。
この3月に、生物多様性の保全を基本理念にすえた「自然環境保全条例」を改正しました。その実行計画となるのが前述の「あいち自然環境保全戦略(仮称)」です。これは県の政策として作るものですが、この中で、新たな開発の際には生物多様性に十分配慮した形で進めていくという何らかの基準を示し、個々の事案に適切に対応していくことが重要だと考えています。
―最後に、COP10の開催について、県民の方に何かメッセージがありますか?
COP10の誘致が実現したら、国際会議の円滑な運営支援だけでなく、いろいろなサイドイベントも検討していきますので、県内外の多くの方々のご協力をお願いします。
―ありがとうございました。
(記事:浜村良子 写真:安在尚人)





















